良縁-その先の人生を見つめて

第1章 お見合い結婚は、「知的」な結婚

仲人さんという仕事

新聞などに出した広告を見たり、クチコミで評判を聞いた方から連絡があると、仲人さんはまず資料を送ります。そして、相手に届いたところを見計らって連絡を入れ、興味を持っていただけるようでしたら、約束をとりつけてお会いします。
他の結婚相談所のなかには、盛んに勧誘の電話をかけるところもあるそうですが、私どもでは、いっさいそのようなことは行っていません。お会いしたところで説明をし、入会となれば登録の手続きを行います。
お見合いの場では、会員さん同士を紹介する程度で、あとはご本人たちにお任せします。話をするのが苦手という人には、少しだけ傍らについて、話の糸口を見つけてあげることもしていますが、ほとんどはお二人で送りだします。
その後、会員さんの意向を聞き、交際に入りたいという希望でしたら、相手の仲人さんに連絡を入れて「私どもの会員は交際を希望しておりますが、そちらさまはいかがですか」と聞きます。
断ってほしいという要望でしたら、同じように相手の仲人さんに連絡を入れ「ご縁がございませんでした」と伝えます。なぜ断るのかという理由を聞くことはめったにありません。ですが、たまにどうしたら断られないかということを聞いて、会員さんに助言することはあります。不注意な言葉が相手に嫌な思いをさせることに気づかない方もたまにいらっしゃいますから、そういう方にはお伝えするようにしています。
交際中に会員さんが「どうしよう。もっと他にいい人がいるんじゃないかな」と悩んで仲人さんに相談することもありますし、また、結婚を考えている会員さんが、なかなかそれを聞き出せないときに、相手の仲人さんに「うちのほうはそろそろ結婚したいと言っているんですけど、そちらはどうおっしゃっていますか?」と聞くこともあります。
仲人さんという仕事は、一にも二にも信頼が大切です。けっこうホンネで会員さんに話しますから、「この人なら」と思って入会したという方もいらっしゃいます。家が遠いときには、その方の近くの仲人さんを紹介することもありますが、「どうしてもこの仲人さんにお願いしたい」と、遠くから通っていらっしゃる方もいるようです。仲人さんたちの話を聞いていると、なんとかしてこの会員さんを結婚させてあげたいという熱意がひしひしと伝わってきます。
「言いにくいことをズバリと言うので、相手に泣かれてしまい、こっちもいっしょになって涙を流すこともあるけれど、なんとかしてあげたいから言わざるをえない」という仲人さん。結婚が決まると必ず一万円くらいかけて材料を買い込み、手料理でカップルをもてなすという仲人さんもいます。

結婚が決まったとカップルが報告に来て「ここにお願いして良かった」と言ってくださるときが、我々のいちばんうれしいときです。緊張して会っていた最初に比べると、まるで昔からの知りあいのように仲睦まじい様子を見て、ここに入らなければ出会うことがなかったんだなと思うと感慨深いものがあります。また、結婚後も毎年、年賀状を欠かさず送ってくださる元会員さんもいますから、全国に自分の子どもがいるようだとおっしゃる、お子さんがいらっしゃらない仲人さんもいます。
「この仕事をしていると、不思議なことに年をとらない」とよく言われます。仲人さんのなかには、とてもそう見えませんが七十歳、八十歳になっていらっしゃる方もいます。背中がシャキッとしていて、転んで骨折しても若い人より治りが早いくらいで、皆さんとてもお元気です。自分たちより若い人を相手にしていますし、毎日変化があり、そうした変化に常に対応してさまざまな経験を積んでいくわけですから、仲人という仕事は年をとることを生かせる仕事なのだとつくづく思います。
ただ、長年見ていて、仲人さんには良い意味での「好い加減な人」のほうが向いているような気がします。会員さんからさまざまな相談事が舞い込みますし、人の人生の大きな転換点に立ち合うわけですから、あまり几帳面な責任感の強い人ですと、きりきり舞いしてしまって余裕がなくなり、逆に会員さんに窮屈な思いをさせてしまいます。長い間仲人を続けてきた人たちを見ていると、幅のある弾力性を持った「好い加減な人」のほうが長続きしています。
結局、お金が好きという方は、この世界には入って来ないのです。世話好きだとか、おせっかい好きで、お金はあとからついてくるものと考えている方でなくては勤まらない仕事だと思います。

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